- ジョゼ・エドゥアルド・アグアルーザ『忘却についての一般論』
- スティーヴン・キング『死の舞踏 恐怖についての10章』
- アンドルス・キヴィラフク『蛇の言葉を話した男』
- スーザン・グルーム『図説 英国王室の食卓史』
- E・H・シェパード『思い出のスケッチブック 『クマのプーさん』挿絵画家が描くヴィクトリア朝ロンドン』
- ボエル・ヴェスティン『トーベ・ヤンソン 人生、芸術、言葉』
- イ・ミンギョン『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』
ジョゼ・エドゥアルド・アグアルーザ『忘却についての一般論』
ジョゼ・エドゥアルド・アグアルーザ『忘却についての一般論』読み終わった。内戦が激化する外界を恐れ、マンションの最上階で孤立して生きるルドヴィカと闘争の中を生き抜く人々。これって誰がしたこと?という疑問がすっきり解消されていくプロットが素晴らしい
— あおのすけ (@auk_eon_so) 2022年7月2日
目を惹くのは伏線の見事さです。ある人物がしたことが思いがけない方向で別の人物の運命を動かしていく様は見ていてまったく飽きません。主人公のルドヴィカは30年間マンションの最上階に閉じこもって暮らしますが、彼女の行動が誰にも影響を与えないということはありませんでした。文章も読みやすくさくさく先へ進むことができます。
なお、やや詳細な性暴力の描写があるので注意が必要でした。
スティーヴン・キング『死の舞踏 恐怖についての10章』
スティーヴン・キング『死の舞踏 恐怖についての10章』読み終わった。映画、ラジオ、テレビ番組、小説とあらゆるメディアでのホラーをキングが語り尽くす一冊。かなりボリューミーだった
— あおのすけ (@auk_eon_so) 2022年7月10日
ホラーは苦手だしキングの作品は一冊も読んだことがありません。でも読んじゃった。タイトルに惹かれてその勢いで読みました。ホラーの本質に迫る部分もあり面白かったです。
アンドルス・キヴィラフク『蛇の言葉を話した男』
アンドルス・キヴィラフク『蛇の言葉を話した男』読み終わった。エストニアを舞台にしたファンタジー大作。孤独を文学にしたらこんな感じか…
— あおのすけ (@auk_eon_so) 2022年7月14日
森で一人暮らすレーメットは、自らの過去を語り出す。その昔民族を守護した生き物サラマンドルに憧れた幼年時代、人の友や蛇の友と遊び明かした青春、森と隣り合いながらも異世界同然の村の暮らしに惹かれたり嫌悪したり。そして森からは一人また一人といなくなっていく。
敬愛され人と共存していた蛇、女好きで浮気性のクマたち、伝説を盲目的に信じる賢者など個性的な世界が繰り広げられます。なんといっても、古代の文化をわずかでも残している森での暮らしとキリスト教に目覚め文明化しようとしている村の暮らしとの対比が鮮やかです。物語の終盤、レーメットと仲良くなったり愛し合ったりした人や動物が次々退場していくのでなんとも悲しい気持ちになりました。
あまりネタバレをしたくないので多くは語れないのですが、誰か読んで感想を交換してほしい。
スーザン・グルーム『図説 英国王室の食卓史』
スーザン・グルーム『図説 英国王室の食卓史』読み終わった。リチャード2世からエリザベス2世まで、イギリスの王族の食卓にのぼった料理の数々が紹介される。有名な料理本やシェフ、宮殿の厨房の設備や料理人の奮闘の様子も書かれていて興味深かった。
— あおのすけ (@auk_eon_so) 2022年7月15日
英王室の食事メニューがフランス料理の影響を受けているとかメニューがフランス語(英語化したものも含む)で書かれているとかも面白いなー
— あおのすけ (@auk_eon_so) 2022年7月15日
王様ってなにを食べているんだろう?そんな素朴な疑問を一気に解消してくれる本です。王族の人柄や時代の流れに影響される食事の歴史が見事に紐解かれています。食事の内容そのものだけでなく、宮殿で腕を振るった料理人たちの仕事ぶりや調理設備、食事にまつわる王族たちのエピソードなども盛り込まれていてとても面白かったです。お腹が空いているときに読むと大変なことになります。
E・H・シェパード『思い出のスケッチブック 『クマのプーさん』挿絵画家が描くヴィクトリア朝ロンドン』
E・H・シェパード『思い出のスケッチブック 『クマのプーさん』挿絵画家が描くヴィクトリア朝ロンドン』読み終わった。世界一有名なクマの姿を絵に表した挿絵画家の幼年時代が語られる一冊。子供時代特有の瑞々しい喜びや悲しみが各エピソードにぎゅっと詰まっている。
本書ではシェパードの7〜8歳ごろのことが回想されているが、10歳の時に母と死別。家族そろって過ごすことのできた時期の終わりごろと考えると切なくもある。
— あおのすけ (@auk_eon_so) 2022年7月18日
ボエル・ヴェスティン『トーベ・ヤンソン 人生、芸術、言葉』
トーベ・ヤンソンの伝記を読んでる。男性と愛し合いながらも結婚や出産で自分が一歩下がった立場になることを拒む姿勢が私自身と重なる
— あおのすけ (@auk_eon_so) 2022年7月24日
ボエル・ヴェスティン『トーベ・ヤンソン 人生、芸術、言葉』読み終わった。2014年に刊行されてから絶版になっていたトーベ・ヤンソン評伝の新版。生涯に渡って自由と孤独を愛し、仕事と愛に生きたトーベの人生をつぶさに知れる貴重な一冊。
— あおのすけ (@auk_eon_so) 2022年7月30日
ムーミンシリーズで知られる北欧の芸術家トーベ・ヤンソンの人生をたどった本。生まれたときから芸術に親しみ、最期まで愛したいものや人を愛し続けたトーベの一生が生き生きと書かれています。学校での生活と自分がしたいこととで葛藤した学生時代、ムーミントロールを描くことで心の平安を保った戦時中、ムーミンの成功と画家としてのアイデンティティの揺らぎに悩まされるその後の数十年。かなりの厚みで読み終わるのに時間がかかりましたが、濃厚で忘れられない読書になりました。
イ・ミンギョン『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』
『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』をやっと読み始められた。こんなに寄り添ってくれる本は初めて読む…
— あおのすけ (@auk_eon_so) 2022年7月30日
"私はある女友だちからこんな話を聞いたのです。江南駅事件について彼氏と長いこと話し合い、ようやく彼から「自分が無知だった」と謝られたのだと。私は「めずらしく立派な男だね」と彼のことをほめようとし、ハッとしました。ちょっと待って。男性は自分の無知を認めるだけで立派になれるの?"
— あおのすけ (@auk_eon_so) 2022年7月30日
"男性に理解させるために、どうして私たちがこんな大変な思いをしなきゃならないんだろう"
— あおのすけ (@auk_eon_so) 2022年7月30日
"失礼な質問はきっぱり断っていい。会話をするならこっちの話を聞く気があるかどうかを先に確かめよう。いつでもていねいに説明する必要はないし、答えたいと思うときにだけ会話に応じればいい。"
差別を受ける上、どうしてそれが差別になるのか、何が嫌なのかを説明する苦労まで背負わされる。相手が理解するかどうかなんて分からないのに。そもそもそんな苦労はしなくていいと断言してくれる頼もしさ
— あおのすけ (@auk_eon_so) 2022年7月30日
イ・ミンギョン『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』読み終わった。駅の女子トイレで起こった女性嫌悪犯罪(江南駅事件)を契機に書かれた、適切な相手に、適切な方法で対話するための実践書。事件を受けて「それまでと同じようには生きることができなくな」ったと語る筆者の気持ちは
— あおのすけ (@auk_eon_so) 2022年7月30日
とてもよくわかる。近所の国でこんな本が書かれ、邦訳が出ることがとても嬉しいし心強い。女性嫌悪に国境がなければ、当然フェミニズムにも国境はない。
— あおのすけ (@auk_eon_so) 2022年7月30日
『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』編集後記によるとフェミニズムは体にいいそうです。まず心への効果をはっきり感じるしフェミニズムいっぱい摂取しよ
— あおのすけ (@auk_eon_so) 2022年7月30日
2021年8月6日、小田急線の車両内で刺傷事件を起こした男は女性に殺意を抱いていたと供述しました。このニュースを聞いた日から、私は日々過ごすことに(それまでよりもいっそう)危険を感じるようになりました。電車に乗っていたら殺されかけるかもしれない。女性で、幸せそうに見えたというただそれだけの理由で。それでも私は電車に乗らないといけませんでした。自分の日常をこなすために。
どこかで知らない女性が何かの被害に遭ったという知らせを聞く、ただそれだけで自分の身が脅かされはしないかと怯えてしまう。そういったことをまったく経験しない、そういう経験を何度も繰り返す女性がいると考えもしない、そんな男性たちもいる。そしてそんな男性たちから無邪気に、時には明らかな悪意でもって傷つけられる。どれもこれも私には馴染みがあります。ありすぎて泣けてきます。だからこの本を手に取りました。私はたった一人で苦しんでいるわけでもないし、何もできないわけではないと感じさせてくれるから。
この本を読むことで、女性嫌悪もフェミニズムも国による違いはないのだと気がつきました。同じことが、違う場所で、時代を通じてずっと起こっているだけ。だから本を書き、それを読むことで連帯できるわけです。この本を読んだ私は、読む前よりも、”口を開いたフェミニスト”に一歩近づくことができました。