ジャネット・スケスリン・チャールズ『あの図書館の彼女たち』
ジャネット・スケスリン・チャールズ『あの図書館の彼女たち』読み終わった。占領下にあっても図書館と本を求める人々を守り続けた勇敢な司書であり、若いパリジェンヌだったオディールが経験した人生の喜びと後悔を描いた物語。恋や友情や戦争を通して、人の光も闇もすべてが書き尽くされていた。
— あおのすけ (@auk_eon_so) 2022年9月5日
13歳の少女リリーにとって、オディールはただのミステリアスな隣人から愛すべき親友に変わる。リリーを見守るオディールの優しさが温かく、希望を感じさせるラストに胸が熱くなった。
— あおのすけ (@auk_eon_so) 2022年9月5日
この本ではコーエン教授がお気に入り。アメリカ図書館で講座を受け持つ大学教授であり小説の執筆もする。ユダヤ人であるがためにナチス占領下では不自由かつ危険な状態になるけれど、彼女のもとに続々と本が届けられる展開は熱かった。
— あおのすけ (@auk_eon_so) 2022年9月5日
それからイギリス人外交官のミスター・プライス=ジョンズとフランス人ジャーナリストのムッシュー・ド・ネルシア。皮肉ばかり言い合っていつも口論しているがそれが二人の友情の表れという、喧嘩ップルみたいな親友たち。みんなこういう二人組好きでしょ。好きだよね
— あおのすけ (@auk_eon_so) 2022年9月5日
1939年のパリ。二十歳のオディールはアメリカ図書館で司書の職を得て、愛する本に囲まれて働き始めます。一方、1983年のモンタナ州フロイドでは、13歳の少女リリーが謎めいた隣人オディールと友人になりました。故郷に帰らず、家族や友人からの手紙も受け取らず、一人で暮らすオディールの人生に何があったのか。物語を読み進めるうちにオディールが秘めていた友情、愛、そして勇敢さが明らかにされていきます。
主人公のオディールを初めとして、戦時下であっても図書館の役割を果たそうとする職員たちの姿に胸をつかれました。館長のミス・リーダーや理事のクララ・ド・シャンブラン伯爵夫人。ナチスがパリを占領しユダヤ人の図書館への出入りを禁じても、本を求める人々に応えて家まで本を届けに行くことにしました。小説を執筆中のコーエン教授は家から書物を没収されますが、彼女のためにいくつも本が提供されもしました。苦境にあっても本の力を信じる姿によって、まるで私まで励まされたような気分です。
W・H・マシューズ『迷宮と迷路の文化史』
W・H・マシューズ『迷宮と迷路の文化史』読み終わった。人の想像力、創造力を時代を通じて刺激する迷宮の起源を探る本。各地に様々な形で現れる迷宮の事例がいくつも挙げられていて興味深い。
— あおのすけ (@auk_eon_so) 2022年9月12日
きっかけは娘の素朴な疑問。「誰が最初に迷路を作ったの?」それに答えるべく、思想・宗教・文学・芸術の資料を渉猟し筆者は迷宮という表象の迷宮へ踏み入ります。調べ甲斐のありそうなテーマでとても面白く読めました。
ロバート・ソログッド『マーロー殺人クラブ』
ロバート・ソログッド『マーロー殺人クラブ』読み終わった。自由気ままに暮らすちょっと変わり者のジュディスはある晩隣人の家から銃声を聞く。殺人に違いないと考えたジュディスは調査を開始、二人の友人と共に犯人への手がかりを探すが…
— あおのすけ (@auk_eon_so) 2022年9月18日
あらすじはこんなものだけど、思った以上にジュディスが曲者だった。彼女の過去が明かされたとき、ジュディスはただの変わり者ではないのかもと疑ってしまう。それからタイトル、これは単に殺人事件を解決しようとする三人組を指しているだけではない?
— あおのすけ (@auk_eon_so) 2022年9月18日
ミステリを読み慣れた人なら、トリック自体はそう難しいものではないかもしれません。けれど主人公ジュディスが持つ明るさと不意に見せる暗さが彼女の過去への好奇心をかき立てます。それに、型通りの主婦と目立たないおばあちゃんたちが殺人事件を解決する物語の中心になっているというだけで私には読む価値がありました。