- スティーヴン・ミルハウザー『バーナム博物館』
- 豊田園子『女性なるものをめぐって 深層心理学と女性のこころ』
- 中川成美・村田裕和[編]『革命芸術プロレタリア文化運動』
- オルナ・ドーナト『母親になって後悔してる』
- 伊藤博明『ルネサンスの神秘思想』
スティーヴン・ミルハウザー『バーナム博物館』
スティーヴン・ミルハウザー『バーナム博物館』読み終わった。超人的な想像力の行末、ゲームのキャラクターとプレーヤーたちの並行して進む心の読み合い、人心を惹きつける謎に満ちた博物館などの10篇の物語。読み始めは文章に馴染めずややダレたけど、一度慣れると途端に面白くなった。
— あおのすけ (@auk_eon_so) 2023年2月10日
いちばん好きなのは、映画館に迷い込んで目にした光景が語られる『青いカーテンの向こうで』でしょうか。激しい雨の描写が冴える『雨』もお気に入りです。読み応えのある一冊でした。
豊田園子『女性なるものをめぐって 深層心理学と女性のこころ』
豊田園子『女性なるものをめぐって 深層心理学と女性のこころ』読み終わった。現代の女性をめぐる問題を解決するカギをユング心理学に造詣の深い筆者が探っていく。男性中心主義的な世界の中で無視されてきた女性の本質に光が当てられていて、その点でとても心強く感じられた本。
— あおのすけ (@auk_eon_so) 2023年2月17日
男性社会で女性が抑圧されているという大前提に立って、女性が女性のためにそのプレッシャーから解放される方法を考える、それが実践されているということだけでもう勇気をもらえる。抑圧だのなんだの考えないでいろとかそもそも女性への抑圧や差別はないとか言われたりもするからな。
— あおのすけ (@auk_eon_so) 2023年2月17日
女性が自分らしく、創造性を発揮して生きるためには何が必要か。この本はその問いかけから始まります。問題は長らく続く男性中心の社会によって、女性の本来持っていた大切なちからや知恵が無視されてきてしまい、女性たち自身が本質を見失ってしまっていること。筆者はその取り戻すべきものを「女性的なスピリチュアリティ」と名付け、ユング心理学の観点から、その重要性や取り戻し方について語ります。
心理学のことをよく知らない私としては、スピリチュアリティという言葉への馴染みのなさや超越的なちからや知恵を女性的なものと男性的なものに分けることへの違和感のせいで、初めはうまく呑み込めませんでした。ですがこの本が筆者自身の実感や心理分析に訪れた女性たちの経験に根差して書かれたことが分かると、他でもない私のためにもなる本だと思わせられました。性別と自分らしさで悩むことのある人にはぜひ読んでもらいたい本です。
中川成美・村田裕和[編]『革命芸術プロレタリア文化運動』
中川成美・村田裕和[編]『革命芸術プロレタリア文化運動』読み終わった。昭和戦前期プロレタリア文化運動資料研究会の研究成果を一冊にした本。貴重な資料を基にして当時の運動に文学、演劇、メディアなど様々な観点から光を当てた論稿が集まっている。
— あおのすけ (@auk_eon_so) 2023年2月21日
こういう論稿集を読むと脳のどこかが刺激を受けているようで楽しい。プロレタリア関連にはまったく詳しくないけれども。でもこの本で得た情報が他の本も読んでいくうちに知識になったらいいな。
— あおのすけ (@auk_eon_so) 2023年2月21日
よく知らない分野であっても論文を読むというのは楽しいですね。
オルナ・ドーナト『母親になって後悔してる』
オルナ・ドーナト『母親になって後悔してる』読み終わった。子供を産んだことを後悔しているという母親たちのインタビューを分析し研究した本。子供を持つ気のない女性である著者とインタビュー当時まさに公開を抱えている母親たちのやり取りはリアリティがあって非常に重く、「母」を取り巻く
— あおのすけ (@auk_eon_so) 2023年2月22日
社会の様々な概念や力がとても恐ろしく思えた。
— あおのすけ (@auk_eon_so) 2023年2月22日
読んでいて嬉しかったのは、子供を持ちたいという衝動や欲求をそもそも持たない女性がいること、女性の生き方が「母」に専念するかキャリアウーマンになるかに限定されるケースがあることに触れられていた点。
— あおのすけ (@auk_eon_so) 2023年2月22日
著者のインタビューに応えた女性たちが母になった理由からは、「女性は母になるもの」という社会通念が彼女たちに刷り込まれていたことが窺えました。国は違えど状況は同じなようです。「子供はほしくない」と言ったら「そのうちほしくなるよ」と言われたこと、将来の計画に出産を含めなかったら「子供を持つのはいつ?」と尋ねられたことを思い出します。
本書のタイトルを過激だ、ショッキングだというコメントがネット上で散見され、内容を読まないままに批判的な目を向けているのではと思える反応もありました。それだけで、「母親になって後悔してる」という気持ちが表に出にくいかが分かります。そして、母親という役割に期待されているものの圧の強さも。
伊藤博明『ルネサンスの神秘思想』
伊藤博明『ルネサンスの神秘思想』読み終わった。14世紀から16世紀初頭のフィレンツェで栄えたプラトン主義を中心にルネサンスの思想を概観した本。『言語にとって美とはなにか』と同じくらいに難しかった。しかしアリストテレスとプラトンの教説の融合を試みた議論は面白かった。理解できたかは…。
— あおのすけ (@auk_eon_so) 2023年2月28日
また自分の理解を超える本を読んでしまいました。人物の名前がたくさん出てきてやや混乱したのも一因です。特に占星術の説明は読んでもちんぷんかんぷんでした。